感有り(天 37)

吟譜(PDF)

作者:山崎闇斎

(一六一九~一六八二年)(元和四年~天和二年)・江戸時代前期の儒者・神道(しんとう)学者、名は嘉(よし)、字は敬義(もりよし)、長吉、のち清兵衛、嘉右衛門、闇齋、垂加(すいか)、梅庵(ばいあん)とも号した、近江(滋賀県)の生まれで、先祖は播磨(はりま 兵庫県)山崎村の人。

父の代に京都にて鍼医(しんい)を営む、闇齋は幼いときから穎敏(えいびん)、僧籍に入ったが還俗(げんぞく)して儒者となり多数の子弟を教えた。

天和2年9月歿す。享年六十五歳。

語釈

*坐憶・・・・・何となく考える。
*天公・・・・・天。おてんとうさま。
*四望・・・・・四方。あたり。
*洒落人・・・・胸中のさっぱりした物事にこだわらぬ人。
*光風霽月・・・晴れた日のうららかな風、雨後の清らかな月、心中が高明でさっぱりと清らかなのにたとえる。

 

通釈

なんとなしに、お天道(てんとう)さまが人間世界の塵をすっかり洗い清めてくださったかと思われるぐらい、一雨過ぎたあとのあたりの眺めは、なんと清らかで気持ちのよいことであろうか。

なるほど光風霽月という実景は、今も昔も同じであるが、それに比べ胸中のさっぱりした人物に欠けているのはまことに残念である。

備考

かつて黄庭堅(こうていけい)が周敦頤(しゅうとんい 濂溪(れんけい))を称して「光風霽月の如し」といったが、まさにその通り。

範吟

範吟 鈴木精成