金州城外の作(天 59)

吟譜(PDF)

作者:谷口廻瀾

(一八八〇~一九四二年)(明治十三年~昭和十七年)・明治-昭和時代前期の教育者,漢学者。山村勉斎の次男。島根師範卒業後、郷里島根県内の中学でおしえ,雑誌「島根教育」で健筆をふるう。昭和九年東京帝大嘱託となり「詳解漢和大字典」の編集にたずさわった。昭和十七年三月十日死去。六十三歳。本名は為次。別号は黙渓。著作に「論語と教養」「山中鹿介」など。

通釈

作者が昭和6年満州事変に師団長として出征し、その昔日露の役に乃木将軍の部下の一士官だった頃を思い出しての詩

人の親として将軍は明君に奉じて殉死した。子は上官の命に奉じて戦死した。この親、この子を思えば新たに涙が落ちるのである
今、金州城外に来れば秋の淋しさも一層身にしみ

備考

乃木希典の「金州城外」を思い浮かべながら作った詩であろう。て、そぞろに思い出すは将軍が馬を立て戦場を見入られている姿である。