桂林荘雑詠諸生に示す(その1)(天 72)

吟譜(PDF)

作者:広瀬淡窓

(一七八二~一八五六年)(天明二年~安政三年)。江戸後期の折衷学派の儒者。名は建。字は子基。淡窓は号。別号に青渓、蒼陽など。 豊後日田の人。父は諸藩の御用達商人。

徂徠学派の亀井南冥に学び、実家を弟に譲って、文化四年(一八〇七年)書塾瓊林荘(桂林荘?)を開き、一八一七年日田郡堀田村にこれを移し、咸宜園(かんぎえん)と号して子弟を教育。塾生は四千人にのぼった。

語釈

*桂林荘雑詠示諸生・・・作者私塾である桂林荘で、いろいろな事物を詠んだ詩を作って、学生諸君に示す。
*桂林荘・・・・・・・・広瀬淡窓が日田に開いた私塾の名。瓊林荘。咸宜園の前身。
*雑詠・・・・・・・・・いろいろな事物や季節を詠んだ詩歌。特に決められた題によらないで詠んだ詩歌。
*示・・・・・・・・・・詩を作って、目下の者に示す。
*諸生・・・・・・・・・諸学生。学生諸君。各書生。諸君。
*柴扉・・・・・・・・・しばで造ったとびら。しばで造った開き戸。

通釈

よその土地では苦労が多い、と言いなさるな。衣服を共用にする仲間がおり、自然と親しみを深められているではないか。明け方に、柴で造った戸を開けて外へ出てみれば、霜が雪のように降りているではないか。君は川で水を汲みたまえ。わたしは薪(まき)を拾うこととしよう。

範吟

素読・範吟 鈴木精成

伴奏

伴奏(2本)

伴奏(6本)