山行同志に示す(天 97)

吟譜(PDF)

作者:草場佩川

(一七八七~一八六七年)(天明七年~慶応三年)佐賀藩の儒官、名を[い]※(あきら)、字を棣芳(ていほう)、佩川はその号。天明七年肥前国多久(たく)に生まれる。若くして江戸に出て古賀精里(こがせいり)に学び、学成り帰郷して儒官となる。菅茶山、篠崎小竹、賴山陽等と交わる。 多種多芸にして武芸はもとより和歌、篆刻(てんこく)、雅楽、南画等にも長じていたという。詩は多作にして二万首にも及び慶応三年没す。 従四位を追贈される。

語釈

*羊腸・・・羊の腸(はらわた)のように山路(やまみち)の曲がりくねって険しいこと
*鞋底・・・足もと
*光景・・・けしき

通釈

山路はくねくねと曲がり、苔の生えた石はなめらかで、風は足もとから雲をはらって吹きめぐる。 さて、山に登るのはちょうど書生の学問修業と同じで、一歩一歩高いところに登るにつれて、新しい視界が開けてくるのである。

備考

この詩は、登山を勉学にたとえて門人を戒めたものである。詩の構造は仄起こり七言絶句の形であって、 上平声十灰[かい]韻の苔、廻、開の字が使われている。

範吟

範吟 鈴木精成

伴奏

伴奏(2本)

伴奏(6本)