従軍行(天 145)

吟譜(PDF)

作者:王昌齢

(六九八~七五五年?) 中国,盛唐の詩人。字(あざな)は少伯。七言絶句の名手として李白(りはく)と並び称せられた。閨怨(けいえん)の詩に優れた。盛唐期の詩人。秘書省校書郎となったが、礼法を無視する奔放な性格が禍いして龍標(現在の湖南省)に左遷され、安禄山の乱の時、混乱に紛れて勝手に故郷に帰ったために刺史閭丘暁(ろきゅうぎょう)に殺された。七言絶句の名手で、特に女人怨情(えんじょう)辺塞出征の詩に優れたものが多い。

語釈

*従軍行・・・・・楽府題の一つで、軍人の遠征の辛苦を歌ったもの。
*竜城の飛将・・・竜城は匈奴(きょうど)の地名。漢の李広は、匈奴の人々に「飛将軍」と謳われて恐れられた。また衛青は、竜城で匈奴の大軍を撃破した。
*陰山・・・・・・山西省の北方から内蒙古に広がる山脈。万里の長城とゴビ砂漠に挟まれた位置にある。(漢と匈奴の国境の役割をした。)

通釈

あの月も、この城壁も、秦代や漢代の昔と変わらないが、遠く万里のこの地に出征してきた人(私)は,未だに故郷に帰れないでいる。ああ、もしも漢の飛将軍と謳われて匈奴の本拠竜城を震いおののかせた李広将軍がいたらならば、胡の騎兵にみすみす陰山山脈を越えてわが本土に侵入させるようなことはあるまいものを。

範吟

素読・範吟 鈴木精成

伴奏

伴奏(2本)

伴奏(6本)