磧中の作(天 160)

吟譜(PDF)

作者:岑參

(七一五~七七〇年)・盛唐の詩人、南陽(河南省)の人、名門の出身で兄弟そろって秀才の誉れ高く、七四四年、二番の 成績で進士の試験に合格し、官を重ねて左補闕(さほけつ)、起居郎(ききょろう)となり嘉州(四川省)の 刺史となり、のち職を辞して杜陵(とりょう)山中に隠棲し蜀で死す。辺塞詩人として知られている。 「岑嘉州(かしゅう)集」七~八巻がある

語釈

*磧中・・・・・沙漠の中。
*月兩囘圓・・・満月が二回 つまり二ヶ月すぎること。
*平沙萬里・・・平らな沙漠がはるか遠くの方までも続いていること。
*絶人煙・・・・人家の煙が絶える(広漠たる沙漠の荒涼たるさま)。

通釈

馬を走らせて西へ行けば沙漠は果てしなく天まで続いていて尽きることがない。もう家を出てから 二回も満月の夜を迎えたのだ。

今夜はどこに野宿するのだろうか何のあてもない。見渡す限り月下に広がる沙漠は、 はてしなく続いていて人家の煙さえ見えないのだ。

備考

中国西のはてに従軍して沙漠を通過した時の作という。

 

範吟

素読・範吟 鈴木精成