四時(続天 123)

吟譜(PDF)

作者:陶 潜

(三六五~四二七年)中国,六朝宋の詩人。字は淵明(えんめい)。一説に名を淵明,字を元亮とする。また生年にも異説がある。潯陽(じんよう)柴桑(さいそう)(江西省九江)の人。五柳先生と号した。東晋の大将軍陶侃(とうかん)の曾孫にあたる。陶潜の時代には,一家は没落して貧しく,彼は生活のために不本意な地方官の職に就いたり,いくつかの軍閥の属僚を経験したりした。四十一歳のとき,彭沢(ほうたく)県の県令を最後に官界を離れ,かねてからの願望であった郷里の農村での隠遁生活に入っていった。東晋の滅亡後七年で(四二七年)世を去った。ちょうど東晋と時代をともにした人であるといえる。

通釈

春の水は雪解けや春雨などで、どこの沢も水かさを増し、躍動の気がみなぎり、夏雲の様相は峰の偉風を思わせる入道雲がけわしい。
秋の月は中天高く輝き渡り人心を清澄にし、冬の山頂には見事な一本の松の姿が素晴らしい。

鑑賞

自然の四季を簡易な言葉で讃えている。一幅の絵を思い浮かべる。分かりやすい詩である。結句の「孤松」は作者自身かも知れない。

範吟

範吟 鈴木精成