酒泉太守の席上酔後の作(続天 128)

吟譜(PDF)

作者:岑参

(七一五~七七〇年)盛唐の詩人、南陽(河南省)の人。一族から三人の宰相を出した名門に生まれた。三十歳の時に進士に及第したが、平凡な官史生活を好まず、辺塞詩人としては唐代の第一人者。享年五十六歳。

語釈

*太守・・・・・郡の長官
*高堂・・・・・大広間
*置酒・・・・・酒席をしつらえ・宴をもよほすこと
*胡茄・・・・・胡茄の曲
*坐客・・・・・同席している客
*腸を断つ・・・腸を切られるような悲しい思い。

通釈

酒泉の長官は剣舞が得意で、今宵も高殿で酒宴を催し、席上剣舞に合わせて鼓を打って楽しんでいたが、その時たまたま胡笳の悲しい音色が聞こえてくると、満座の人々は皆、望郷の思いにかられ、腸をちぎられるような悲しい思いになって、互いに顔を見合わせてぼろぼろと涙を流して泣いた。