清平調詞(その一)(続天 158)

吟譜(PDF)

作者:李 白

(七〇一~七〇二年)中国,盛唐の詩人。字,太白。号,青蓮居士。若い頃は任侠を好み,四川を振出しに,江南,山東,山西を遊歴。四十二歳のとき長安に出て賀知章らに推挙されて翰林供奉 (ぐぶ) となったが,高力士に憎まれてまもなく追われ,また放浪生活に入り,その間,杜甫とともに旅をしたこともある。のち安禄山の乱のとき永王の軍に加わったため夜郎 (貴州省) に流されることになり,途中で大赦にあい,また各地を往来するうちに安徽省で死んだ。杜甫とともに中国最高の詩人として「李杜」と並称され,杜甫が「詩聖」と呼ばれるのに対して「詩仙」と呼ばれる。絶句と楽府 (がふ) を最も得意とし,自由奔放で豪快な盛唐の詩風を代表する。詩文集『李太白集』がある。

語釈

*容・・・・・容貌。
*檻・・・・・宮中の手すり。
*露華・・・・美しい露。
*郡玉山・・・仙女のもとじめである西王母のすむ山。西王母のまわりにはたくさんの仙女がつかえている。
*瑤台・・・・仙女のすみか。

通釈

雲を見ると楊貴妃の衣装が目に浮かび、 花を見ると楊貴妃のあでやかな姿が目に浮かぶ。
春風が沈香亭の欄干の手すりを払い、牡丹の花に降る美しい露が、見事に輝いている。こんな美しい人には仙女のもとじめである西王母のすむ郡玉山の山頂でなければ仙人のすむ瑶台の月明かりの下でしか、めぐり会えないだろう。

備考

仕事は主に皇帝の行幸に付き添い、記念的な詩を詠む宮廷詩人のようなものでした。この時期の李白の作品として、 楊貴妃の美しさを牡丹の花にたとえた「清平調詞」三首が今に伝わっています。

範吟

範吟 鈴木精成