絶句(両箇の黄鸝)(続天 161)

吟譜(PDF)

作者:杜 甫

(七一二~七七〇年)・中国盛唐の詩人。字は子美。号は少陵野老、別号は杜陵野老、または杜陵布衣。「杜少陵」「杜工部」とも呼ばれる。律詩の表現を大成させた。李白と並ぶ中国文学史上最高の詩人として、李白の「詩仙」に対して、「詩聖」と呼ばれている。また晩唐期の詩人・杜牧の「小杜」に対し「老杜」と呼ばれることもある。

語釈

*両箇・・・・二つ。二羽。
*黄鸝・・・・朝鮮うぐいす。高麗うぐいす。日本のより大きい。
*翠柳・・・・みどりの柳。
*一行・・・・一列。
*白鷺・・・・しらさぎ。
*窓含・・・・窓わくの中に絵をはめ込んだように、はっきりと見えることの表現。
*西嶺・・・・西方の山々。
*千秋雪・・・万年雪。
*門・・・・・杜甫の草堂の門前。
*東呉・・・・東方の呉の地方。現在の江蘇省南部。
*万里船・・・万里も離れた呉の地の船。

通釈

2羽のうぐいずが、緑色に茂った柳でさえずり、一列になった白さぎの群れが青空を飛んで行く。窓からは西嶺(西都の西にある雪山)に降り積もった万年雪がまるで、額縁にでもはめこんだように眺められ門の前の船泊りでは、東の国呉から来た船が停泊している。

範吟

素読・範吟 鈴木精成

範吟 菊地龍駿

 

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