中秋月を望む(続天 175)

吟譜(PDF)

作者:王建

(七七八年~八三〇年?)中唐の詩人。河南省潁川(えいせん)の人で字は仲初(ちゅうしょ)、又は仲、七七五年進士、秘書丞(ひしょのじょう)、侍御史(じぎょし)など歴任、太和(たいわ)年間河南省陜州(せんしゅう)の司馬(しば)として転出、辺境の軍に従ったこともある。韓愈(かんゆ)の門下、楽府歌行(がふかこう)を得意とし、王建詩集十巻あり。

語釈

*中秋・・・陰暦八月十五夜 中秋の名月のこと
*中庭・・・庭の中のこと
*零露・・・降ってくる露
*桂花・・・木犀(もくせい)の花
*秋思・・・秋に感じる寂しい物思い

通釈

今夜は中秋の名月。庭さきの地面は月の光に白く輝き、樹は静まって鴉もねぐらについている。やがて夜がしだいに更けて来て、露は静かに声もなく、木犀の香しい花をしっとりと湿している。さて、今夜はこの ように月が明るく照らしているのだから、天下の誰もがこの明月を仰ぎ眺めていることであろうが、その中でも最も秋の 物思いにふけっているのは、どこの家の人であろうか。

自分ほどこの秋の物思いにひたっている人はいないであろう。

余談

珍名さんです、名字が「八月十五日」と書いてなんと読む? 「八月十五日」と書いて「なかあき」と読む名字の方がいらっしゃいます。

八月十五日=なかあき=中秋のことで昔から八月十五日の月を「中秋の名月」(なかあきのめいげつ)と呼んできました。(?)

後の世に「ちゅうしゅう」と呼ぶ(読む)ようになったのでしょうね。

範吟

範吟 鈴木精成