立山を望む(天 171)

吟譜(PDF)

作者:國分青厓

(一八五七~一九四四年)明治、大正、昭和の漢詩人、名は高胤(こういん)、字は子美(しび)、青厓は号、別に太白山人と号した。仙台の生まれ。 年少にして藩学養賢堂(ようけんどう)教授国分松嶼(しょうしょ)に漢学を、落合直亮(なおあき)に国学を学ぶ。長じて高知新聞その他 の記者となり、のち大東文化学院教授となり作詩の指導に当たる、昭和十九年没す。年八十八。

語釈

*立山・・・富山県の東部飛騨山脈北部の高峰3015メートルで頂上に雄山(おやま)神社あり 富士山・白山とともに日本三霊山に数えられる
*相揖・・・えしゃくする・先方を敬う気持ちをあらわす
*玉立・・・ きよらかに美しく立つさま
*群仙・・・ 多くの仙人

通釈

四十年来、この名山、立山にあこがれて夢にまで見つづけて来た。きのう夕暮れ時山麓に着き 宿から眺めたが、もやが一面にかかっていて、何も見ることが出来なかった。今朝日が出て山の姿が現れて来た ので思わず丁寧にえしゃくすると、きよらかな雪に輝く連邦が並び立つ仙人のように目前に迫ってくるのである。

範吟

範吟 鈴木精成