天門山を望む(天 183)

吟譜(PDF)

作者:李白

(七〇一~七六二年)、盛唐の詩人、杜甫と並び称される。蜀の錦州彰明県青蓮郷の人で青蓮居士と号した。 幼にして俊才、剣術を習い任侠の徒と交わる。長じて中国各地を遍歴し、四十二歳より四十四歳まで玄宗皇帝の側近にあり、後再び各地を転転とし多くの詩をのこす。 安禄山の乱に遭遇して、罪を得たがのち赦され。六十二歳、病のために没す。

語釈

*天門山・・・今の安徽省当塗県の西南の蕪潮のあたりにある山で、東梁山と西梁山の二つの山は揚子江をはさんで向かい合いその形があたかも天の門のようになっているところから名づけられたという。
*楚 江・・・・揚子江のこと。このあたりでは楚江と呼ばれていた。
*碧 水・・・・あおあおとした水。

通釈

天門山は真ん中から断ち切られて、その間を楚江が流れている。 ここを碧水が東の方に流れて、さらに北に向きをかえて流れている。 両岸には青青とした山が向き合って突き出しており、その切れ目の奥の方から一そうの舟が下ってくるのは、 まるで太陽の沈むあたりから流れ下ってくるかのようである。

範吟

 横山精真