平泉懐古(天 208)

吟譜(PDF)

作者:大槻磐渓

(一八〇一~一八七八年) 享和元年五月仙台藩医玄沢(げんたく)の次男として江戸木挽(こびき)町に生まれる。幼名六治郎、または、 進平、自瑞弘(思考)、豪ははじめ工員、後に盤珪、忌み名(忌み名)は正隆(清隆)。

幼にして慧敏(けいびん)、昌平黌に学びまた長崎に赴き蘭学を修業する 。帰藩後西洋砲術や儒学に専念した。 開国論者にして親露排米説を唱えた。明治元年奥羽諸藩挙兵の際軍国文書司となり、新政府に捕らえられ終身禁錮 に処せられたが四年四月釈放され五月上京し本郷に隠棲、明治十一年六月没す。七八歳。従五位を贈られる。

語釈

*平泉・・・・・岩手県にあり 東北本線平泉
*三世豪華・・・藤原清衡(きよひら) 秀衡(ひでひら) 基衡(もとひら)の三代 奥羽の地を領し豪華を極めたこと
*金色堂・・・・平泉駅の西方二キロメートル 中尊寺の一仏塔 光堂ともいう芭蕉の句に「五月雨の降り残してや金色堂」

通釈

藤原氏三代の繁栄は豪華をきわめ、帝都当時の京都に似せて、朱塗りの樓台、碧色の殿堂が 見わたす限り高く聳えていた。

今はただ当時の豪華さは、一場の夢となり、昔と変わらぬものは東山に上る月だけで、夜ごと来って当時の遺物金色堂 を照らしているのである、と栄枯盛衰の感慨をのべている。

範吟

範吟 横山精真

範吟 鈴木精成、磯田精信、岩崎精慶

範吟 鈴木精成

伴奏

伴奏(2本)

伴奏(6本)

 

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