余生(天 238)

吟譜(PDF)

作者:良寛

(一七五八~一八三一年)江戸後期の禅僧。漢詩人。歌人。越後国(現・新潟県)出雲崎の人。俗姓は山本。名は栄蔵、後、文孝と改める。号は大愚。諸国を行脚、漂泊し、文化元年、故郷の国上山(くがみやま)の国上寺(こくじょうじ)に近い五合庵に身を落ち着けた。晩年、三島(さんとう)郡島崎に移った。高潔な人格が人々から愛され、子供達も慕ったが、人格の奇特さを表す逸話も伝わっている。ただ、遺されている漢詩は陰々滅々として、類例を見ないほど暗いものである。

語釈

*餘生・・・・今まで過ごしてきてまだ余っている人生。年老いてからの人生。余命。
*復・・・・・また。
*遍界・・・・全宇宙。法身の功徳があまねく行き亘る世界。法界。仏語。
*棄身・・・・身を捨てる。一身を投げ出して顧みない。世をのがれ、出家することを謂う。
*月と花・・・自然美。風雅

通釈

雨が晴れ、雲も晴れて、気も亦晴れて。(内的世界である)心が清らかであれば、全宇宙の(自分にとって)外界の物体がみな、清らかなものとなってくる。出家して世捨て人となって、閑人となり。はじめて月や花といった風雅な(四季の環境で、)老いてからの人生を過ごすこととなった。

範吟

素読・範吟 鈴木精成

範吟 越智精麗

伴奏

伴奏(2本)

伴奏(6本)

 

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