三閭廟(続天 104)

吟譜(PDF)

作者:戴叔倫

(七三二~七八九)・中国,中唐の詩人。金壇 (江蘇省) の人。字は幼公。撫州刺吏として治績をあげ、晩年は退いて道士となった。韋応物らとともに中唐初期にあって、五言詩を得意とし、田園,山林を詠じ、閑雅な幽情を叙した詩が多い。

語釈

*三閭廟・・・楚の屈原の廟。汨羅江(べきらこう)のほとりにある。
*沅湘・・・沅江と湘江。ともに洞庭湖に注ぐ。
*屈子・・・屈原のこと。懐王に仕えて三閭大夫(宮内庁長官)となったが、讒言を被り、追放された。屈原は沅江と湘江の流域を放浪し、ついには憂憤のあまり汨羅の淵にみを投じて死んだ。
*蕭蕭・・・もの寂しい様。

通釈

沅江と湘江と二つの川は永遠に流れてつきることがない。その流れのように讒言を受けた屈原の怨みも、尽きることなく深いことであろう。日が暮れて秋風が吹き出した。楓の林がざわざわと音をたてている。その音はあたかも屈原の怨みを訴えているかのようで、ひとしおもの寂しい。

範吟

範吟 鈴木精成