秋夕琵琶湖に泛ぶ(続天 108)

吟譜(PDF)

作者:梁田蛻巌

(一六七二~一七五七)江戸中期の儒者、詩人、名は邦美、江戸の人。父は前橋候の家老、山崎誾斎に私淑、朱子学を修め、新井白石にもあつく厚遇された。四十八歳より明石候(松平直常)に仕え藩士に学問を教えた。京阪の詩壇にあって活躍し詩豪と称され、八十六歳で没した。

語釈

*篙・・・・さお、船を進めるための長い棒。
*孤松・・・近江八景のひとつ「唐崎の一つ松」
*滄波・・・青々とした波
*雲裏・・・雲の中

通釈

琵琶湖の湖北湖南ともに暮色が濃くなってきた。棹をとどめ、唐崎の松はどこだろうかとあたりを見回してみる。青波の寄せる岸辺には秋の風が吹いて、雲の中から叡山の鐘の音を吹き響かせている。

範吟

範吟 鈴木精成