焦心録後に題す(続天 115)

吟譜(PDF)

作者:高杉晉作

(一八三九~一八六七年)(天保十年~慶應三年)。幕末の長州藩の志士。長州藩士高杉小忠太の子。諱は春風、字は暢夫、号を東行・西海一狂生等。吉田松陰の松下村塾で久坂玄瑞と共に双璧と称され、のち江戸の昌平黌に学ぶ。藩命により奇兵隊を組織し総監となり、四国連合艦隊の下関砲撃事件では講和にあたった。のち九州に亡命するが、挙兵して藩政を握り、藩論を討幕に統一し、第二次長州征伐では全藩を指揮し活躍した。慶応三年歿、二十九才。

語釈

*題焦心録後・・・焦慮する多くの事柄をまとめて書きつづった著作のできた後に作った詩。
*吾州・・・・・・長州をいう
*正是・・・・・・ちょうど。
*唯爲・・・・・・ただ・・・・・・のため。
*邦君・・・・・・君主。藩主。
*爲・・・・・・・ため。●になる。
*邦國・・・・・・国。国家。
*愁・・・・・・・うれえる。かなしむ。思い悩む

通釈

内からの心配と外からの災いといえる藩内の政争と対幕府関係の昏迷が、我が藩である長州に迫っている。まさしく滅びるか滅びないかが決まる大切な時である。ただ君主のために、祖国のために。弾丸が雨注するところでおり、命も自分のことも、何も別にとりたてたてて、愁いてはいない。

範吟

素読・範吟 鈴木精成

伴奏

伴奏(2本)

伴奏(6本)