史郎中欽と黄鶴楼上に笛を吹くを聞く(続天 127)

吟譜(PDF)

作者:李 白

(七〇一~七六二年)盛唐の詩人。字は太白。自ら青蓮居士と号する。世に詩仙と称される。西域・隴西の成紀の人で、四川で育つ。若くして諸国を漫遊し、後に出仕して、翰林供奉となるが高力士の讒言(ざんげん)に遭い、退けられる安史の乱では苦労をし、後、永王が謀亂を起こしたのに際し、幕僚となっていたため、罪を得て夜郎にながされたが、やがて赦された。

語釈

*史郎中欽・・・郎中の官位にある史(姓)欽(名)。
*郎中・・・・・官名。
*遷客・・・・・流罪に処せられた者。作者自身のことになる。

通釈

ひとたび・・・となるやいなや、長沙に向かって行った。西の方を望み見るが、我が家を見ることは(でき)ない。

黄鶴樓で、美しい笛の音を聴いたが。川沿いの町の夏五月というのに「落梅花」という曲名であった。

備考

郎中の官位にある史欽と黄鶴楼上で笛の音を聴いた。安禄山の乱の事後処理に関わって、夜郎国(現・貴州省)に流されることになり、武昌(現・湖北省武漢)に到った時の作。