春思(続天 129)

吟譜(PDF)

作者:賈 至

(七一八~七七二年)中国・唐の詩人。洛陽(河南省)の出身。字は幼幾(ようき)。一説には幼隣(ようりん)。賈曾の子。七三五年に進士に及第、さらに七五一年明経(めいけい)に及第、起居舎人・知制誥(ちせいこう)に至った。安禄山(あんろくざん)の乱のときには、玄宗に従って蜀へ避難し、帝位を皇太子に譲る勅語を起草した。その後、一時罪によって岳州(湖南省岳陽)に流され、そこで李白に会い、酒宴に日を送ったこともある。その落ち、都に召還され、七七〇年には京兆尹兼御史大夫となり、右散騎常侍に至った。

語釈

*春思・・・・春の長閑(のどか)な気持ち。
*歴亂・・・・花の咲き乱れるさま。入り乱れるさま。
*李花・・・・スモモの花。
*東風・・・・春風。
*吹愁去・・・愁いを吹き去る。
*愁・・・・・春愁。春の物思い。春のわびしさ。
*吹去・・・・を吹き飛ばす。・・・を吹き払う。
*偏・・・・・ひとえに。ひたすら。一途に。意外にも。

通釈

草の色は、青青として柳の(新芽の)色は黄金色になって。モモの花が咲き乱れて、スモモの花が香っている。(わたしの)春の物思いを吹き払ってはくれないので。春の一日は、ひたすらよく悔恨の念をひきおこしている。