初夏即事(続天 141)

吟譜(PDF)

作者:王安石

(一〇二一~一〇八六年)・北宋の詩人、文章家、政治家。唐宋八大家の一人。字は介甫(かいほ)、半山(はんざん)は号。 一〇四二年の進士、淮南(わいなん)の判官より宰相(さいしょう)となり財政再建のため新法を実施して実績をあげたが 神宗(しんそう)が崩(ほう)ずるや、失脚、鍾山に隠棲、一〇八六年失意の中に没。年六十六歳。

唐宋八大家 唐宋二代の八人の大文学者 韓愈(かんゆ)、柳宋元(りゅうそうげん)(以上、唐)。欧陽修(おうようしゅう) 、蘇洵(そじ ゅん)、蘇軾(そしき)、蘇轍(そてつ)、曽鞏(そうきょう)、王安石(以上、宋)。

語釈

*濺濺・・・水が小さいしぶきを散らして流れるさま。

通釈

石造りの橋、茅葺きの小さな家、湾曲した岸辺、小川の水はさらさらと 土手の間を流れてゆく。

晴れた初夏の日差しに暖められた風が吹き、麦の香りを運んでくる、緑の木陰、下生えの草々も花どきの春よりめでたく感じられる。

備考

政治とは無縁ののどかな春の光景を眼に浮かぶようにえがいている。この一首を見ても作者が優れた詩人であることがわかる。

範吟

素読・範吟 鈴木精成

伴奏

伴奏(2本)

伴奏(6本)