初冬の作劉景文に贈る(続天 142)

吟譜(PDF)

作者:蘇 軾

(一〇三七~一一〇一年)、中国北宋代の政治家、詩人、書家。東坡居士と号したので、蘇東坡(そとうば)とも呼ばれる。字は子瞻(しせん)。蘇洵の長子、弟は蘇轍であり、この三人に韓愈・柳宗元・欧陽脩・曽鞏・王安石を加えた八人を「古文」の唐宋八大家という。子に蘇邁、蘇迨、蘇過、蘇遯ら。曾孫は蘇公弼(威州刺史)、玄孫娘に耶律楚材夫人(蘇公弼の娘、耶律鋳の生母)がいる。

語釈

*初冬作贈劉景文・・・初冬の作、劉景文に(この詩)プレゼントする。
*荷・・・・・・・・・ハスの花。
*蓋・・・・・・・・・傘(かさ)。ふた。
*猶有・・・・・・・・なお・・・がある。まだ・・・がある。
*傲霜・・・・・・・・霜にあっても枯れない。霜に屈しない。
*橙黄橘緑・・・・・・ダイダイが黄色を帯び、ミカンが緑色になる。

通釈

ハスの花は尽きて、とっくに無くなり、雨に捧(ささ)げ持つ傘(かさ)(=ハスの葉)は。菊の花は盛りをすぎてそこなわれたが、なお霜に屈せずに咲いている枝がある。一年の中のすばらしい景色を、あなたは覚えておいてほしい。ちょうど、ダイダイが黄色を帯び、ミカンが緑色の時季だ。