清平調詞(その三)(続天 160)

吟譜(PDF)

作者:李 白

(七〇一~七六二) 盛唐の詩人。杜甫(とほ)と並び称される。蜀(しょく)の錦州彰明県青蓮郷(きんしゅうしょうめいけん せいれんきょう)の人で青蓮居士(せいれんこじ)と号した。 幼にして俊才、剣術を習い任侠の徒と交わる。長じて中国各地を遍歴し、 四十二歳より四十四歳まで玄宗皇帝の側近にあり、後再び各地を転転とし多くの詩をのこす。 安禄山(あんろくざん)の乱に遭遇して、罪を得たがのち赦される。六十二歳、病のために没す。

語釈

*名花・・・・名高く美しい花、ここでは牡丹のこと。
*傾國・・・・美人のこと、故事は、漢武帝のとき、李延年が妹の美を称して「一顧 すれば人の城を傾け 再顧すれば人の國を傾く」と歌ったことにもとづく。
*君王・・・・玄宗皇帝(げんそうこうてい)。
*解釋・・・・ときほぐす、解消する。
*春風恨・・・いわゆる春愁である。
*沈香亭・・・沈香木で造った唐都長安の興慶宮の西北にあった宮殿中の一小亭で龍池 の東にあった。

通釈

名花牡丹と傾国の美人楊貴妃とが互いに楽しんでいる。そのありさまを皇帝は笑顔でいつまでも眺めている。 皇帝の寵愛(ちょうあい)を得て、楊貴妃は春風の限りない愁いをときほぐして沈香亭の北の欄干によって 花を賞(め)でている。