禅院に題す(続天 164)

吟譜(PDF)

作者:杜牧

(八〇三~八五二年)晩唐の詩人、字は牧之。京兆萬年(現・陝西省西安)の人。進士になった後、中書舍人となる。杜甫を「老杜」と呼び、杜牧を「小杜」ともいう。李商隠と共に味わい深い詩風で、歴史や風雅を詠ったことで有名である。

語釈

*題禅院・・・禅宗の寺で詩を作る。
*觥船・・・・酒を載せた船。
*百分空・・・すっかりと飲み乾す。
*十歳・・・・十年間。役人生活の時代で、宴(うたげ)の日々を指す。
*青春・・・・作者が江南で官に任じられていた頃。
*鬢絲・・・・両側の髪の毛に交じった白髪。
*禪榻・・・・禅寺。お寺
*茶烟・・・・茶を沸かす煙。

通釈

酒を載せた船の酒を一船分、すっかり飲み乾したこともあった。十年間の青春時代の行跡は、諸兄の期待に背くことがなかったし、(十年間の青春時代の行跡は、)大酒を飲み、酒器にも恥じることがなかった。 今は、白髪混じりの頭となり、禅寺の坐禅用の腰掛けの辺りで。茶を沸かす煙が、花を散らしてしまう風に、軽やかに揺れ動いている。

範吟

範吟 鈴木精成