盗に問う(続天 180)

吟譜(PDF)

作者:日柳 燕石

(一八一七~一八六八年)江戸後期の志士、讃岐仲多度郡(なかたぐん)榎井(えない)村(現在香川県仲多度郡琴平町榎井)の人、 本姓は草薙であるが、神器(じんき)の名を避けて父の代に日柳と改めた。 幼いとき父を失い成長して琴平の 三井雪航(みいせっこう)に師事し歴史に通じ詩文書画にたけていた。 性豪放・侠気あり博徒 数百人の親分であって、賴山陽に啓発されて勤皇の志を抱き、西郷、木戸等勤皇の士と交わる。 戊辰の役に従い柏崎で病死した。享年五十二歳.

通釈

盗賊に尋ねた。「お前らはどういう料簡で罪もない良民に危害を加えるのであるか」と。盗賊が言うには「おれたちの犯した罪はまことに些細なものでさあ。ごろうじろ、あの錦の衣に繡の袴をつけた堂々たるお偉方が、真昼間、公然と人民の衣裳を剝ぎ取っているんではござんせんか」と。