董大に別る(続天 183)

吟譜(PDF)

作者:高適

(七〇二?から七六五年)盛唐の詩人、字は達夫(たつぶ)また仲武(ちゅうぶ)、山東省浜州(ひんしゅう)の人。若い頃不遇で貧しく、七四四年杜甫、李白と相識り、年五十歳ごろから詩を作りはじめた。辺塞詩人として有名。豪壮にして節義を重んじた性格を反映して、詩にも気骨が あり重厚である。「高常侍集(こうじょうじしゅう)」十巻がある。

語釈

*董大・・・・董庭蘭(とうていらん)のことで 当時の琴の名手であった。
*白日曛・・・光が暗くなる様子。
*紛紛・・・・盛んに入り乱れるさま。

通釈

見渡す限り黄色がかったたそがれの雲が垂れこめ、太陽の光さえもうす暗い。北風は空ゆく雁の群れを吹き送り、 雪まで紛紛と降りしきる。このような夕べ、君は別れて遠くに旅するのであるが、董大よ、君の行く先に親友がいないなどと心配しなさるな。 天下に琴の名手である君の名を知らない人は、誰一人としていないのだから。