南楼の望(続天 191)

吟譜(PDF)

作者:盧 僎

(生没年不詳)。河南省の下級官吏から集賢院学士に抜擢され、尚書省吏部員外郎(従六品上)になっていますので、才能のあった人と思われます。「国」は故郷のことで河南省臨漳県に生まれました。官途の途中、巴地(四川省)に左遷されたことがあったらしく、三巴は後漢末に巴地が巴・巴東・巴西にわけられたので三巴と言うのであって、巴地と同じ意味です。詩題の「南楼」は巴地のどこかの町の城壁にあった南門の望楼で、そこからあたりを眺めたのでしょう。

語釈

*三巴・・・・四川省の重慶を含む東部一帯
*江上客・・・作者自身のことで

通釈

国都長安を去って、遥か三巴(四川)に来て。高殿に登ってみれば、見わたす限りの春である。

悲しいことに、長江を船で行く旅人たちは。故郷の人たちではない。