金縷の衣(天 58)

吟譜(PDF)

作者:杜秋娘

(约七九一年—?)・唐代・金陵。の歌妓。「杜」が姓で、「秋」が名。「娘」は、「嬢」。「杜秋さん」の意。美人で有名。十五歳で浙西観察使の李錡(りき)の妾となる。後、穆宗(ぼくそう)に命じられて皇子の守役となる。

語釈

*金縷の衣・・・・・・・・ 金糸で織った高価な衣。
*少年の時・・・・・・・・若い時。
*折るに堪(た)えなば・・・ 折るべきである。折る値打ちがある。

通釈

あなたに勧めるが、金糸で織った衣服など大切にすることはやめなさい、あなたに勧めるが、若い時を大事に過ごしなさい。
花が開いて、折り取るにふさわしい時期だったら直ちに折り取るべきで、花が散ってから慌てて、花のない枝を折っても全く空しい事だ。

備考

いいたいことは、どんな高価な衣類でもお金で買えるが、若さはお金では買えない。年を取って後悔することなく、やりたい事は多いにやり、人生を有意義に過ごすように。若い時に好きなことをやろう、酒を飲むべしは李白や他の詩人も詠っている。女性の詩人が若い時の人生観を詠っているのは珍しい。

範吟

範吟 鈴木精成