芳野(天 240)

吟譜(PDF)

作者:河野鉄兜

(一八二六~一八六七年)(文政八年~慶応三年)・江戸後期の漢詩人。名は羆・維羆、字は夢吉、通称は俊蔵、絢夫、号は鉄兜、秀野。播磨国(兵庫県)網干の医者河野通仁の第三子。初め讃岐丸亀の吉田鶴仙に従学し二十歳のころ京都で梁川星巌に詩を学んだ。のち江戸に遊んで見聞を広め嘉永五一八五二)年二十八歳で林田藩(姫路市林田町)に仕官して藩校致道館の教授になり、藩主建部氏に尊王攘夷を説いた。詩は平淡を好んで白居易を高く評価した。「吾が著書等身を過ぎ、詩もまた万首を下らず」と自ら述べたように、精力的な作家でもあった。詩集に『鉄兜遺稿』など。

通釈

山に棲む鳥の声も絶えて夜は寂しく更けて行く、幾年幾夜春風は絶えることがないが、南朝の無念はまだ消えてはいない。
延元陵にさす月光のもと、夜空を仰いで寝て、満身に降りかかるような夜桜の姿に、遠い南朝を夢に描き見る。

備考

※延元陵:後醍醐天皇の塔尾陵。延元年間に建てられた。

範吟

素読・範吟 鈴木精成

伴奏

伴奏(2本)

伴奏(6本)