作者:眞山民
(一二七四年頃)中国,宋末の詩人。経歴,姓名とも不詳で,山民と自称し,南宋の学者真徳秀の子孫ではないかと思われるところから,真山民と呼びならわされている。戦乱を避け,おもに江南を遊歴中につくった平明な詩が,人々に好まれ,伝誦された。詩集『真山民集』。
語釈
*一闌・・・闌は欄に同じ、一つの欄干
*脾肝・・・脾臓と肝臓 腹の中
*虚檐・・・誰もいない軒先
*絡緯・・・こおろぎ
通釈
更けてゆく秋の夜色と月光が欄干に満ち、心ゆくまで夜気を腹の底まで一ぱいにすいこむ。
誰も居ない軒端(のきば)の青桐の影の辺りにしばらく立っていると、何処からともなく こおろぎの鳴く声が聞こえてくる。月は山の端(は)にかかりひとしお寒気(かんき)を覚えるのであった。
範吟
範吟 磯田精信