古稀偶感(続天 79)

吟譜(PDF)

作者:宮崎東明

(一八八九~一九六九年)(明治二十二年~昭和四十四年)・明治から昭和の医師・吟詠家・漢詩人。大阪府大東市野崎の名家に生まれた。大正六年大阪市福島区で胃腸科医院を開業するかたわら、書・詩・画・篆刻・吟詠などの道も極めた多才の人。昭和九年発起人となり関西吟詩同好会(現在の関西吟詩文化協会)を創設した。昭和二十三年に二代目会長となり、戦後の吟界を復興させ、さらに発展させた。我が国の吟界の大功労者である。昭和四十四年没す。享年八十一歳。

語釈

*古稀・・・・・・70歳。
*清吟・・・・・・静かに吟じ また詩を作ること。
*無塵無俗心・・・清らかな心。 汚れた世の中に心を染めないこと。

通釈

毎年、善い友人を増やし、毎日のように詩を作って楽しみ、静かに吟じ続ける。始めから終わりまで、生涯一貫して常に美しい心を持ち、汚れもせず、世間に染められもせず、清らかな心を持ち続けたい。

鑑賞

古稀を迎えた作者の晩年の心境。この詩は作者が昭和三十二年、古稀を迎えられた時の作で、晩年の心境が述べられています。
杜甫の「曲江(きょくこう)」という詩があり、その中の「人生七十古来稀なり」という名句から、古稀という言葉が広く使われるようになりました。