作者:杜甫
(七一二~七七〇年)盛唐の詩人。字は子美。居処によって、少陵と号する。工部員外郎という官職から、工部と呼ぶ。晩唐の杜牧に対して、老杜と呼ぶ。さらに後世、詩聖と称える。鞏県(現・河南省)の人。官に志すが容れられず、安禄山の乱やその後の諸乱に遭って、流浪の生涯を送った。そのため、詩風は時期によって複雑な感情を込めた悲痛な社会描写のものになる。
語釈
*宅裡・・・・・お屋敷で。
*岐王・・・・・睿宗の四男・李範のこと。
*尋常・・・・・いつも。つね。なみ。あたりまえ。
*堂前・・・・・立派な建物の前で。
*落花時節・・・花の散る時節で、晩春の意。また、人生の晩年に。
通釈
昔、岐王さまのお屋敷で、いつもあなたを見ました。崔九さまの宴席でも、あなたの演奏を何度も聞きました。今はまさに、江南の良い風の時節。花びら散るこの晩春に、こうしてまたあなたに逢えるとは。
範吟
範吟 鈴木精成
伴奏
伴奏(2本)
伴奏(6本)