遠山(天 22)

吟譜(PDF)

作者:欧陽脩

(一〇〇七~一〇七二年)北宋の時代の政治家。字は永叔(えいしゅく)、酔翁と号した。宗の永宝(江西省吉安市)の人。中国では珍しく姓が二字で脩が名である。江西省は優れた文人・政治家が多い。王安石・曹鞏・黄庭堅・楊万里・文天祥など総て江西省の人である。二十四歳で進士に合格累進して参知政事(副宰相)にまでなったが、神宗の時、宰相王安石の新法に反対して青洲の知事に左遷され、晩年は潁州(えんしゅう)に引退して著述に励み、彼の「名臣言行録」は我が国にも伝えられ、武士の必読書と言われた。左遷されるなどの挫折は有ったものの、彼は有能な政治家であったばかりでなく、文学者としても偉大な足跡を残し、文章改革を完成させると共に「新唐書」「新五台史」等の史書も完成させた。韓愈・柳宗元・蘇軾らと共に唐宗八大家の一人として活躍し、六十六歳で没し「文忠公」と諡された。

語釈

*山色・・・山の景色。気配。
*看・・・・手をかざして見る。手と目とから成る会意文字。「見」(みるともなしにみる)とは異なることに注意。
*峯・・・・山の峰、区別すれば「峰」は、頂きの尖ったもの。「巒」は丸い峰。
*行客・・・旅人。登山者。

通釈

山の色合いは皆同じで遠近は解らない。一日中山を見ながら歩く。

峰の姿は至る所で変化して見える。旅人は山の名前も知らない。

備考

遥かに遠く山を眺め、その美しさを詠った詩

範吟

素読・範吟 鈴木精成