勧学(天 28)

吟譜(PDF)

作者:木戸孝允

(一八三三年~一八七七年)(天保四年~明治十年)。政治家。桂小五郎。号して松菊。長州藩出身。吉田松陰に師事。慶応二年(一八六六年)、薩長連合を結び、倒幕・王制復古運動を指導した。

維新後、新政府の中心となり、版籍奉還、廃藩置県を断行し、政体書による官吏公選など開明的諸施策を建言し続け、参議内閣制の確立に努めた。

語釈

*勧学・・・・・学問を奨励する。発憤努力を勧める。
*駑馬・・・・・のろい馬。下等の馬。転じて、にぶい。
*雖・・・・・・遅:のろのろとして動きがおそい。ぐずぐずして動きがおそい。
*積歳・・・・・多くの年月を経る。=積年。
*高山大沢・・・高い山と大きな沢との意。
*堪・・・・・・もちこたえる。こらえる。がまんする。
*請看・・・・・御覧下さい。どうぞ御覧あれ。
*一掬・・・・・ひと掬(すく)い。
*泉巌・・・・・水が湧き出る岩間(いわま)の意。
*汪洋・・・・・水の深くて広く、際限のないさま。
*万里波・・・・遥か彼方から打ち寄せてくる波の意。
*作・・・・・・となる。

通釈

のろい馬で、のろのろとした歩みであっても、多年に亘れば。高い山や大きな沢等は、ことごとく通り過ぎることができる。 どうぞ御覧あれ、水が湧き出る岩間(いわま)の一(ひと)掬(すく)いの水(=僅かな水)であっても。やがては、大海原の水の深くて広い遥か彼方から打ち寄せてくる波となるのを。