寒梅(天 38)

吟譜(PDF)

作者:新島 襄

(一八四三~一八九〇年)明治の教育者で京都に同志社を創立する。天保十四年正月上州(群馬県)安中(あんなか)藩の江戸一ツ橋邸で生まれた。幼児から漢字を修め蘭学は杉田玄瑞について学んだ。

二十一歳のとき聖書にふれて感激、幕府の禁を犯して渡米し神学・理学を学ぶ。明治七年帰国後京都に同志社を開き更に大学にすべく奔走中病に倒れた。明治二十三年四十八歳にて没す。明治の教育・思想界に強い影響を与えた。

語釈

*庭上・・・庭先
*侵・・・・耐えがたきに耐える
*不力・・・ことさらに励んで行うでもなく
*魁・・・・先がけ 先んじて

通釈

庭先にある一本の早咲きの梅が、きびしい風や雪の寒さにもめげず笑うが如くに開いている。一番咲きを争うこともなく、また特に努力するでもないが、それでいてあらゆる花のさきがけとなって咲いている。 まことに謙虚な姿であり人もこうありたいものである。

範吟

範吟 横山岳精