金谷園(天 56)

吟譜(PDF)

作者:杜牧

(八〇三~八五三)中国,晩唐の詩人。字は牧之。京兆・万年(陝西晩唐の省)の人。晩唐の技巧的風潮を排し、平明で豪放な詩を作った。杜甫(老杜)と区別するため小杜とも呼ばれる。その詩は平明なので江戸時代以来日本でも愛唱され,特に「江南の春」「山行」は有名。

語釈

*金谷園・・・西晋の石崇が洛陽の北の金谷に建てた別荘の庭園で、石崇は。ここで愛妾の緑珠と暮らしていた。
*繁華・・・・石崇の生活が豪奢だったことを謂う
*香塵・・・・沈香を削った粉
*墜樓人・・・身投げをした人。石崇の愛妾の緑珠のこと。

通釈

昔、豪華を極めた金谷園も沈香の粉が飛散するのとともになくなり、今はそれを偲ぶよすがもなく
水は興亡をよそに無情に流れ、自然は変わりなく春の草は生い茂り日暮れに吹く春風は鳥の啼き声を怨むかのごとく
花ははらはらと散っている。その昔、この楼から石崇の無常を怨み身を投じた美しき人緑珠を思わせ、そぞろ淋しさに胸 を打たれる。