九段の桜(天 64)

吟譜(PDF)

作者:本宮三香

(一八七八~一九五四年)(明治十一年~昭和二九年)千葉県香取郡津宮村(現佐原市津宮)に生まれる。名は庸三、字は子述(しじゅつ)、別に風土子と称し、三香は号。

幼にして漢学漢詩を学ぶ。日露の役に従軍、第三軍に属し戦場でも詩を作る。三十九年凱戦後故山に帰り悠々自適の生活を楽しむ。大正二年「江南吟社」を設立、のち水郷吟詠会を組織し木村岳風の日本詩吟学院の講師を委嘱されるなど作詩及び詩吟の普及に力を傾けた。作詩五千、酒と詩を愛した。昭和二十九年十二月二十九日没す。年七十七歳で没す。

語釈

*九段(壇)・・・東京都千代田区にあり 靖国神社の建つところ。
*至誠・・・・・・最上の誠 まごころ。
*烈烈・・・・・・激しく盛んなさま。
*香雲・・・・・・群がり咲く桜花のさま

通釈

誠を貫いて国の為に一命を捧げたその精神は天地間に満ち溢れている。靖国神社はそうした忠勇の誉高い人達をまつってある。

社(やしろ)には今年も桜の花が咲き乱れ、風に揺れてあたかものどかな春の海を見ているようである。そうした花霞の奥に祀(祭)られた英霊は今安らかに眠っているのである。

範吟

範吟 鈴木精成