偶成(天 71)

吟譜(PDF)

作者:新島 襄

(一八四三~一八九〇年)(天保十四年~明治二十三年)明治の教育者で京都に同志社を創立する。上州(群馬県)安中(あんなか)藩の江戸一ツ橋邸で生まれた。幼児から漢字を修め蘭学は杉田玄瑞について 学んだ。二十一歳のとき聖書にふれて感激、幕府の禁を犯して渡米し神学・理学を学ぶ。

明治七年帰国後京都に同志社を開き、 更に大学にすべく奔走中病に倒れた。明治二十三年四十八歳にして没す。明治の教育、思想界に強い影響を与えた。

語釈

*巍巍・・・山が高く大きいさま。
*闊・・・・ひろく雄大なさま。
*洋洋・・・ゆったりと。のびのびしているさま。
*造化・・・万物をつくり出した自然の理。
*妙・・・・たえ。すぐれていること。
*小心・・・小さいことにこだわり。こせこせした心。
*發揚・・・意氣があがること。

通釈

山を見ると高く大きく、海を見れば果しなく広々としてゆったりとしている。

このすばらしい山や海をつくり出した自然の理のすぐれていることを感じると、こせこせした私の心も、山の如く大きく 海の如く広い心を もたなければならない、と意気があがるのである。