塞翁が馬(天 106)

吟譜(PDF)

作者:松口月城

(一八八七~一九八一年)(明治二十年~昭和五十六年)医師・漢詩作家。本名栄太。筑紫郡那珂川町生まれ。熊本県医学専門学校別科卒。十七歳で現在の医師国家試験に当たる医術開業試験に合格、医師資格取得の最若年記録を作る。学校保健医としての功労により昭和四十八年勲五等端宝章受賞。那珂川町名誉町民。三十五歳ごろから漢詩を志し、生涯で一万数千編を作る。漢詩の現代化を目指し、平易な詩句が共感を呼び昭和三十二初版の『月城吟詩集』は二十四版を重ね、吟詠愛好家にとってバイブル的存在となり、全国で愛吟される。毎年開催される西日本吟詠大会(西日本新聞社主催)創設の提唱者でもあり、日本吟詠総連盟、福岡県吟詠連盟などの顧問を務めた。「漢詩の作詩活動を通じ、吟詠界の育成向上に尽くした功績」により昭和五十三年第三十七回西日本文化賞を受賞。

通釈

「自分の身に降りかかった災厄について、いつまでも歎くのは止めておこう。天に偏愛などあるわけがなく、誰に対しても公平だ。中国の故事「塞翁が馬」にあるように、何が幸で何が不幸か分からない。「禍福は糾える縄の如し」と言うように、吉凶は互い違いにやってくる。そのように世の中は回っているものだ(そのように考えたいものだ)」と。