残月杜鳥(天 108)

吟譜(PDF)

作者:菊池三渓

(一八一九~一八〇九一年)(文政二年~ 明治二十四年)・は江戸時代後期から明治にかけての漢学者。通称は純(紀)太郎、角右衛門。名は純。字は子顕。別号は晴雪楼主人、鉄屏書屋主人。和歌山藩儒の家系に生まれ、安積艮斎(あさか-ごんさい)にまなぶ。江戸幕府奥儒者に抜擢されたが、政変のため下総国に退隠し、明治初年まで常総諸藩を点々とした後、東京や京都で著述活動を行った。明治のはじめ「大日本野史」の校訂にあたった。明治二十四年十月十七日死去。七十三歳。名は純。

通釈

人は杜鵑(ほととぎす)の声が月の辺りですると言うが、私は月が啼(な)いたのかと思った。
月が没して声もまた消え、川辺の卯(う)の花が美しく映えるばかりである。