舟中子規を聞く(天 112)

吟譜(PDF)

作者:城野静軒

(一八〇〇~一八七三年)江戸後期の学者。 熊本県菊池郡に生まれる。その生涯は不明な点が多い。文武両道に秀で、書も詩も巧みであった。同時代の横井小楠と親交があり、「小楠堂詩草」に静軒と相唱和した詩がある。明治六年八月没す。享年七十四歳。

語釈

*子規・・・ほととぎす 杜鵑も同じ
*八幡・・・京都府八幡市
*山崎・・・京都府乙訓郡大山崎町・大阪府三島郡島本町山崎の一帯
*啼血・・・血を吐くような声で鳴く
*声裏・・・声のする中
*離人・・・旅人 ここでは作者
*半夜・・・夜半 真夜中

通釈

淀川を下り、八幡・山崎を通り過ぎれば春も終わろうとしている。どこかで杜鵑(ほととぎす)が血を吐くような声で鳴いており、花は川面に散って静かに流れている。その一声(ひとこえ)は月が鳴いたかと思われ、また一声は水の中から鳴いたかと思われる。真夜中の舟の中、旅の身にあってひとしお思いをこめてその声を聞いた。

範吟

素読・範吟 鈴木精成

伴奏

伴奏(2本)

伴奏(6本)