
作者:日柳 燕石
(一八一七~一八六八年)(文政元年~慶応四年)江戸後期の志士、讃岐仲多度郡(なかたぐん)榎井(えない)村(現在香川県仲多度郡琴平町榎井)の人、 本姓は草薙であるが、神器(じんき)の名を避けて父の代に日柳と改めた。幼いとき父を失い成長して琴平の 三井雪航(みいせっこう)に師事し歴史に通じ詩文書画にたけていた。性豪放・侠気あり博徒 数百人の親分であって、賴山陽に啓発されて勤皇の志を抱き、西郷、木戸等勤皇の士と交わる。戊辰の役に従い柏崎で病死した。享年五十二歳。
語釈
*嬌鶯・・・・・・なまめかしい鶯
*幾囀・・・・・・あちこちでさえずっていること
*一刻價千金・・・春夜起句「春宵一刻直千金」引用
通釈
花の気は山に満ちて、いっぱいに霧がたちこめているかのようである。鶯の声が美しく なまめかしく聞こえてくるが、どこで鳴いているのだろう。自分の住んでいるこの楼上からの眺めは「一刻価千金」ともいうべきであるが、 それは春の宵ではなく春のあけぼのをいうのではあるまいか。
範吟
素読・範吟 鈴木精成
伴奏
伴奏(2本)
伴奏(6本)