城東の荘に宴す(天 148)

吟譜(PDF)

作者:崔敏童

( 生没不詳 )盛唐(六一八年から九〇四年までの唐代のうち、玄宗皇帝即位の七一二年頃から約六十年間をいいます)の詩人。
山東省(中国東部、渤海と黄海に面した遼東半島のあたり)の人です。『全唐詩』にこの一首だけ載っています。

語釈

*城東莊・・・これは自分の従兄の崔景童(さいけいどう)が王維の〔車罔〕川( もうせん)莊の対岸に建てた別荘で長安の東郊にあった玉山草堂。
*百歳・・・・人の寿命の上限をいう。
*十千・・・・一万銭。
*沽酒・・・・酒を買うこと。

通釈

一年が終われば新しい年の春がおとずれてくる。春はこのように永遠にめぐってくるが、こうして百年をかさねても、 百歳まで生きる人はひとりもいない。このように、咲く花の前で、互いに酒を飲んで、いったい一生のうちに何度酔うことができるだろうか(そう度度はあるまい、今日一日は存分に飲もう)一万銭で酒を買ってこいよ。金がないとか、金がなくなるとか、さもしいことをいうものではない。

解説

城東の荘は、長安城の東の郊外にあった別荘のことです。この別荘は作者の弟の崔敬童の別荘でした。作者はその別荘で宴を開き、その席上で詩を作りました。その詩が『城東の荘に宴す』です。弟・崔敏童は、玄宗皇帝の皇女を妻としました。