春行して興を寄す(天 150)

吟譜(PDF)

作者:李 華

(七一五~七七四年)盛唐の文学者。字は遐叔。趙州・賛皇(現・河北省の賛皇)の人。七三四年の進士。監察御史、右補闕等を歴任した。蕭穎士と並び称された古文運動の先駆者。安禄山の乱のとき、叛乱軍の職を得たため、叛乱鎮定後に節義を瀆したことを深く恥じ、山陽(現・江蘇省淮安)に隠棲、農耕に従事して世を終えた。

語釈

*春行・・・春の行楽。春に野山を歩くこと。
*寄・・・・よせる。やる。おくる。
*興・・・・たのしむ。よろこぶ。
*萋萋・・・木や草の繁っているさま。
*澗水・・・谷川の流れ。
*芳樹・・・花の咲いた木。

通釈

宜陽(ぎよう)の街の外では、草が盛んに生えていて。谷川の流れは、東に向かって流れたかと思うと、また西に向かって流れている。花の咲いた木を愛でる人がいないので、花は賞する人もないままに、勝手に散っていき。春の山の一筋の路では、鳥があてもなく鳴いている。

鑑賞

春の行楽でのおもむきを詩を詩に寄せて表現する。自分の才能が世に報われることなく、野に埋もれていることの哀しさを詠ったか。「・・・・・・無人花自落,・・・・・・一路鳥空啼。」で、それを訴えている