修学(天 152)

吟譜(PDF)

作者:夢窓疎石

(一二七五~一三五一年)鎌倉末期・南北朝時代の禅僧(臨済宗)。伊勢(三重県)の人。姓は源、号は夢窓。禅宗歴代の高僧の中でも並外れた傑物で、実力者だった。後醍醐 天皇に召されて、二度南禅寺に入り、足利尊氏の天竜寺建立に開祖として迎えられた。

また、後醍醐・光厳・光明の三天皇から国師号を賜った。造園 技術にも優れ、西芳寺(さいほうじ=苔寺)・天竜寺・瑞泉寺等の作庭にも偉才を見せた。

語釈

*千載・・・千年。 永遠。 「載」は歳。
*富貴・・・金持ちで身分地位が高い。
*一朝・・・わずかな間。一時(いっとき)。
*一書・・・一冊の本。
*恩德・・・恵み。 情け。
*萬玉・・・多くの宝。
*千金・・・非常に高価。

通釈

わずか一日の浅い学問であっても自分の身につけば、永遠に宝となって残るが、逆に百年もの長い年月を経て蓄えられた財産 や身分でも、おろそかな心があればわずかの間にあとかたもなく消えうせる。意義ある一冊の書物から受ける恩德というものは、多くの宝玉よりも貴重なものであり、師の一言の教訓は、千金の重さに値する。

備考

この詩は学問・知識の大切さ、貴重さについて、自らの体験から述べたものである。