泉岳寺(天 159)

吟譜(PDF)

作者:阪井虎山

(一七九八~一八五〇年)(寛政十年~嘉永三年)・江戸後期の儒学者、広島に生まれる。東派(とうは)の子、名は華(ひかる)、字は公実(こうじつ)通称は百太郎(ひゃくたろう)。父と賴 春水(らい しゅんすい)に学び、文政八年(一八二五)藩校教授にあるかたわ一時江戸藩邸に滞在し、松崎慊堂(まつざきこうどう)・佐藤一斎(さとういっさい)らと親交をもった。 史論・文章にたけ、家塾百千堂には五百人の門人を数えた。著書に「杞憂策(きゆうさく)」「論語講義」等がある。嘉永三年没す。年五十三歳。

語釈

*四十七臣・・・赤穂義士大石良雄(よしたか)等四十七人のこと。
*流涕・・・・・感激して流した涙。

通釈

山は崩れて無くなることもあり、海が埋もれて無くなることもあるが、赤穂義士四十七人の忠誠の魂は消えて無くなることはない。

今、泉岳寺に来て見ると、墓の前やその辺り一面は草や苔が青々と生えて水で湿おうている。定めしこれはこの墓に詣でる人や、前を通る人々がその忠誠に感激して流した涙の痕であろう。

範吟

範吟 鈴木精成