太平洋上作あり(天 167)

吟譜(PDF)

作者:安達漢城

(一八六四~一九四八) 熊本の人。済済黌(せいせいこう)に学ぶ。佐々友房(さっさともふさ)に師事し国権党に入る。 以来政界に活躍し、憲政会の領袖(りょうしゅう)となり、逓信(ていしん)、内務大臣に就任した。昭和八年同志と国民同盟を結成、 総裁に推(お)される。昭和八年横浜に八聖殿(はっせいでん)を、ついで熊本に三賢堂(さんけんどう)を建て吟詩の 普及発展に尽くされた功績は大きい。晩年は本会顧問を委嘱、昭和二三年八月没す。年八五歳。

語釈

*日・・・・太陽
*洋洋・・・広々とゆるやかにのびのびしたさま
*鵬・・・・想像上の大鳥
*鯤・・・・想像上の大魚(鯤鵬=大きなもののたとえ)
*碧空・・・あおぞら(碧は青く美しい石)

通釈

太平洋は波また波の広大さで太陽も波間から昇り、波間に沈むのである。海水は広々として紫一色が 遥か遠くまで続いている。鵬(おおとり)の飛んでいる姿や、鯤(こん)の波間からも躍(おど)り出る姿も無く、静かな太平洋の上は青空が涯(はて)しなく 広がり、白雲がゆったり流れてゆく。