冬夜書を読む(天 185)

吟譜(PDF)

作者:菅茶山

(一七四八~一八二七年)江戸時代後期の儒学者・名は晉帥(しんすい)、字は礼卿(れいけい)、通称を太仲(たいちゅう)と称し茶山(さざん ちゃざんともいう)は号。 寛延(かんえい)元年、備後神辺(びんごかんなべ 今の広島県深安(ふかやす)郡)に生まれる。京都に遊学し、のち故郷神辺に塾を開き廉塾(れんじゅく)といい、住居を黄葉夕陽村舎(こうようせきようそんしゃ)と名づける。詩名高く子弟多し。文政十年八月八十歳にて没す。 著書に「黄葉夕陽村舎詩前後編」その他多数ある。

語釈

*山堂・・・・山の中の住まい。
*擁・・・・・とりかこんで、埋めて。
*樹影深・・・木々の姿が一層深く感じられる
*檐鈴・・・・軒につるした風鈴。
*沈沈・・・・夜の更けゆくさま、 静かなさま。
*亂帙・・・・取り散らかした書物、 帙は書物を包む覆い袋。
*疑義・・・・うたがわしい意味。
*一穗・・・・一つのともし火(形が稲穂の先に似ているのでいう)

通釈

雪が山中の家をうずめ、樹木も雪に深く掩われている。風もやみ軒の風鈴も動かず、夜は沈々とふけてゆく。
静かにとり散らかした書物を整理しながら、疑問の箇所を考えつづけていると、稲穂のような青白い灯火が、大昔の聖賢の心を 照らし出してくれるように思われてくる。

範吟

範吟 鈴木精成