野の仏(天 196)

吟譜(PDF)

作者:武田静山

(一九一二~一九八三年)(大正元年~昭和五十八年)・内科医 現代漢詩作家 名は昌俊 山形県の人。昭和十年 岩手医専(現・岩手医科大学)を卒業後、現役の軍医として北支駐屯軍に勤務、除隊後も二回応召、軍医大尉として活躍、勲5等瑞宝章を賜わる。終戦後は山形市に内科・静山堂を開業。地域医療に尽くす傍ら本格的な作詩活動を始め、その数は六〇〇首以上に及んだ。昭和五十年社会福祉事業功労者として表彰され、昭和五十八年七十歳で没した。「岳精流吟魂碑除幕式を祝す」(続天三四)など多くの作詩を通じ岳精流日本吟院にも貢献され、顧問も務められた。

語釈

*野の仏・・・石地蔵
*紅・・・・・赤い涎かけ
*路岐・・・・路かど
*赤蜓・・・・赤蜻鈴
*蒼苔・・・・緑の苔

通釈

赤い涎かけも、色あせた路かどの石地蔵、頭の上には赤蜻鈴が飛んでいる。村の童達が手を合わせ童謡を歌いながら去って行った。地蔵の優しい顔が語りかけるように蒼い苔の上に座っている。