農を憫む(天 195)

吟譜(PDF)

作者:李紳

(七八〇から八四六年)。中唐の詩人・政治家。字は公垂。無錫の人。中唐の四王に仕えた。

語釈

*憫農・・・・農民を憐れむ。
*鋤・・・・・たがやす。鋤(す)く。
*禾・・・・・イネ。穀類。アワ。
*當午・・・・真南にある。真南に高く上っている。正午である。太陽がちょうど午(うま)の方角にある。
*滴・・・・・したたる。
*禾・・・・・稲。穀類の総称。
*盤中餐・・・食器の中のごちそう。
*粒粒・・・・一粒一粒。
*皆辛苦・・・すべてが苦労の結晶である。

通釈

夏の炎天にさらされて、農夫は稲の畑を耕すに、汗はだらだら流れて畑地に滴っているのを見ると苦労のほども思いやられる。
しかし、一般の人々は毎月食する椀の中の飯が一粒一粒みな農夫の汗の結晶であるということを知っているであろうか。

範吟

範吟 鈴木精成